河名秀郎の、ほんとの野菜は緑が薄い。とても素晴らしい本。虚構世界に気づいた人々が覚醒するマトリックス
みたいな状況が、自然農法(著者は「自然農」と「自然栽培」を耕起するか否かで区別している)という生命の根本に関わる分野において飛び出してきた感がある。普段から疑問に思っていたことにいちいち丁寧に答えてくれる。自然栽培は、野生に自生する野菜本来の姿を畑に再現し、そこに人が適切な手を加えてやる農法なのだという。それにはやっていいことと悪いことがあり、悪いことの代表格が、農薬と肥料だと筆者は指摘する。農薬や肥料はたしかに効果があり、作物を病害から護り、その成長を促進する。短期的には素晴らしい効果を発揮する。自分も実家で野菜を少々作っているが、今の畑を畑として耕し肥料をまいて野菜を作り始めた最初の1、2年は、じつに収量豊かであった。しかしその実りは年を追うごとに痩せていき、作物は病気がちとなっていったものだ。結論は明白だ。農薬はもちろん、有機肥料であろうとも、年々土を悪くする作用しかもたらさない。考えてみれば当然だ。著者の指摘するように、自然界には人の作った畑のように肥えた場所など何処にもない。不自然な土地で自然の物を育もうなど無理な相談だ。まずは土を、その土地本来の姿に戻してやり(大豆や麦を植えると良いらしい。あとは悪い土の層を機械で粉砕してやる&放置プレー)、これが肝心らしいがその土地に合った作物を植えるということ。自然栽培といえども、昔田んぼだった土地に野菜を植えてもうまくいかないし、果樹は山に、野菜は野原にそれぞれ適性があるのだと、得心のいく解説をしてくれる。川口由一の自然農・栽培の手引き
を読んで知った記憶があるが、自然栽培には連作障害(同じ場所に何年も続けて作物を植えると、次第に生育不良となっていく現象)がないということも驚きだった。
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